紛争の内容
ご依頼者の祖母がお亡くなりになられ,ご依頼者が代襲相続人となっておりました。
しかし,相続開始から7年程経っておりますが,遺言書により多くの資産を受け継いだ相続人Aとの間で解決には至っておりませんでした。ご依頼者は,相続開始を知ってから1年以内に遺留分減殺請求を相続人Aに通知しておりましたが,その後,一向に問題が解決しないため,当事務所にご来所されました。

交渉の経緯
 話合いが前進していないように見受けられたため,当事務所が依頼を受け,速やかに,遺留分の減殺請求調停を申立てました。
 同調停では,相続財産の評価額を見直すとともに,相続財産には賃貸用ビルがあり,相続開始後7年間で収益を上げておりましたので,法定果実(賃料)の返還を求めました。

本事例の結末
 調停では,相続財産の確認を進め,収益物件の資料を集めて話合いを行いました。その結果,調停申立後,約1年を経て,1200万円の支払いを受ける内容の調停が成立しました。

本事案に学ぶこと
 示談交渉は,裁判所の手続と異なり,期日に拘束されず,迅速かつ柔軟な調整が可能である反面,徒に長期間が経過してしまうことがあるといったデメリットがあります。
通常は,特に理由もなく紛争が長期化することは“百害あって一利なし”と考えられますが,本事案では,図らずも,収益物件の賃料(「法定果実」といいます)が発生していたため,この分を加味して和解金額を定めることになりました。その結果,ご依頼者の満足のできる1200万円という金額で,調停が成立しました。
 ただし,遺留分の行使期間などをはじめとして,時間の経過に伴う法律関係の変動には,細心の注意を払う必要がありますので,十分ご留意ください。

以上