紛争の内容
Aさんの父親は、遠く離れた他県で建築業(法人化していない)を営んでいたが、持病が急激に悪化して亡くなった。相続人はAさんら子供達4人。
ところが、初七日が明けた直後から、父親の取引先を名乗る業者、設計事務所等から、「支払ってもらっていない業務委託料がある」、「あなたのお父さんが仕事を完成させなかったせいで、オーナーさんに損害が出ている」、「前払いした材料費を返して欲しい」といった連絡がくるようになった。
しかし、父親の財産はほとんどなく、取引先からの請求金額(合計で400万円以上)を返せる当てなどなかった。

交渉・調停・訴訟などの経過
ご相談にお越しいただき、4人全員で相続放棄することを決断。
父親の死亡後3か月以内に申立を行い(その際に業者等からの請求書や支払いを求めるメールを添付)、家庭裁判所に受理された。

本事例の結末
4人全員が無事に相続放棄を受理された。

本事例に学ぶこと
本件のように、誰も被相続人と同居しておらず、その仕事ぶりもよく分からない場合、亡くなった後で債権者や取引先から支払いの請求を受けることが往々にしてある。
積極財産の有無・多寡を勘案したうえで、ほとんど負債しかないような場合であれば、落ち着いて期限内に相続放棄の手続きを取ればよい。