前回は、遺産分割調停の概要をお話しいたしました。
それでは、実際にこの調停はどの程度利用されているのでしょうか。

裁判所HPには、「司法統計」という裁判手続についての各統計が掲載されています。
そこで、令和元年度の遺産分割についてこれを見てみましょう。

まず、遺産分割調停の申立件数については、全国で12786件、さいたまは586件です。

このうち、調停が成立したものは、全国が6320件、さいたまが350件となりますので、調停の成立率は、全国が49.43%、さいたまが59.73%ということになります。

また、調停に代わる審判と言って、調停は成立しないものの、審判にまでは移行しないで終了するもの(当事者の不出頭、争点に対する見解の差が非常に小さい場合など)がありますが、この形での終了が、全国は3073件(24.03%)、さいたまが90件(15.36%)です。

次に、取下げ、と言って、調停手続きをやめる意思を示した場合ですが(ちなみに、遺産分割調停を申し立てた人は、いつでもその申立を取下げることができます)、これは、全国で2210件(17.28%)、さいたまで108件(18.43%)であり、少なくない数であることが判ります。

また、調停での話し合いが不成立となり、審判となった件数は、全国が964件(7.54%)、さいたまが30件(5.12%)であり、こちらは、かなり少ないことが判ります。

また、代理人関与(弁護士に依頼した当事者がいる場合)は、全国で10080件ですので、78.84%の事件に代理人が関与していることになります。

裁判所での話し合いを基調とする調停であっても、法的な論点が関わることが多いですので、やはり専門家に依頼する方が多いと言えます。

また、遺産にまつわる紛争のうちで多いのが「寄与分」の主張(被相続人の介護をした等)だと思いますが、「寄与分」の定めがされた事件数は全国でわずか135件であり、全体の1%しかなく、「寄与分」の主張が認められる可能性が非常に低いことが判ります。

一方、調停や審判期日の回数ですが、0~4回までが7016件、5回が1090件、6回~10回までが3045件(以降省略)となります。

また、期間に着目すると、6カ月以内が4361件、1年以内が4333件、2年以内が3034件となっていますが、3年以内が748件、3年を超えるものが309件あることが判ります。

このように、遺産分割の解決には、ある程度の時間がかかることも念頭におく必要があります。

遺産分割や相続全般に関するお悩みは、是非、当事務所にご相談下さい。

前回の記事はこちら→遺産分割調停①

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