紛争の内容
依頼者は、遺言による遺産を受け取る受遺者です。
遺言をした方には、すでに配偶者はなく、第1順位の子もなくなり、その代襲相続人もありませんでした。
相続人は、第三順位の兄弟姉妹、そしてそれら方々の代襲相続人と推測されました。

交渉・調停・訴訟などの経過
依頼者は、遺言書の検認手続きを申立て、検認手続きが終了した証明が得られれば、遺産不動産の所有権移転登記を備える予定でした。
裁判所に手続きの相談をしたところ、検認手続きのためには、すべての相続人を調べ上げ、その方々全員に手続きに関与できる機会を保障する必要があるから、相続人全員の戸籍関係と住所を調べる必要があるとアドバイスしました。
そこで、専門外である相続人の戸籍関係の連続調査と、本検認手続きの申立てを依頼されたものです。
依頼者の説明によれば、すでに、被相続人の配偶者・子ども・直系尊属は亡くなられており、そもそも被相続人の兄弟姉妹がどれくらいいらっしゃるのかさえ依頼者は知りませんでした。
被相続人は高齢で亡くなられましたが、生前、全国を転々とされて、しかも、戸籍も移動していたため、被相続人の戸籍を辿るだけでも、何回も郵便により一通一通戸籍資料を入手していく時間がかかりました。また、被相続人の戸籍を辿っていく中で、実は依頼者も知らない兄弟姉妹として、生後すぐ亡くなられた方、養子縁組をされて、兄弟になられた方、全く交流のなかった方が次々と見つかりました。
さらに、第三順位の相続人である兄弟が判明しても、その方が亡くなられて代襲相続が発生していました。
最終的に40通ほどの戸籍関係資料を取り寄せる必要がありました。
丹念に戸籍を追跡しましたが、ご依頼の申立をし、検認の日に至るまで、5ヶ月以上の日時を要しました。

本事例の結末
無事検認手続きが済みました。検認期日には第三順位の相続人の方はどなたも出席しませんでした。

本事例に学ぶこと
第三順位の相続人である兄弟姉妹がある場合、しかも、その方々が高齢者である場合、必要となる戸籍書類が非常に多数になります。しかも、改製前の戸籍資料は手書きのため、改製前の戸籍謄本の記載を判読することにも手間がかかります。
他のお仕事を持っている方が、相続の手続き(遺言検認手続きの申立てなど)のために、戸籍の連続を追っていくことは、大変な労力となります。
遺言検認の申立自体は特に難しいものではありませんが、同手続の申立てを弁護士に依頼され、戸籍の連続を調査してもらう方が、時間や手間を考えると、費用対効果の面で十分リーズナブルなものです。
 当事務所の、相続の電話相談からお問い合わせ頂ければと存じます。

弁護士 榎本誉
弁護士 相川一ゑ
弁護士 平栗丈嗣