父が亡くなり、相続人は子が3人(母はすでに他界しています)でした。父の遺産としては、父が創業した会社の株式、A土地・建物、B借地権、預貯金などです。父が創業した会社は次男が後を継いで経営をしていたのですが、長男、三男が次男を相手にして、遺産分割の調停を起こし、次男が当事務所に依頼をしました。
調停で争点になったのは、長男は、父から、自分の家を建てるための費用を出してもらっているのではないか(特別受益があるのではないか)、次男は、若い頃から、社長である父のもとで働き、小遣い程度しかもらっていなかった時期も長かったので、特別の寄与があるのではないか、また、遺産をどのように分けるのかということでした。結局、調停では話合いが合意に達することはできず審判になり、裁判官が、決定によって、遺産をどのように分けるかを決めました。
まず、長男の特別受益については、長男はこれを否定していること、また、長男が家を建てるための費用を出してもらったという証明が不十分であるという理由から、裁判官は特別受益を認めませんでした(はっきりした証拠がないと、なかなか認めてもらえません)。
次男の特別の寄与については、給料をもらっていなかった期間が長いことから、次男に10%の特別の寄与を認めました<(妥当な額の給料をもらって働いていたということであれば、これは普通の勤務ですから、特別の寄与は認められません)。 一方、分け方ですが、次男はA土地・建物を使って会社を経営していることから、会社の株式とA土地・建物は次男が取得する、B借地権については長男が取得する、預貯金は三男が取得する、ただし、次男の取り分が多いので、次男は、長男、三男に対して、裁判所が決めた代償金を支払うというものでした。 次男は、会社の株式とA土地・建物を取得でき、会社を継続していくことができたこと、また、10%の寄与が認められたことなど、よい解決ができたのではないかと思っています。