紛争の内容
被相続人Aさんは、配偶者や子もなく亡くなり、唯一の法定相続人である兄も相続放棄をしたため、Aさんにお金を貸していた金融機関から、相続財産清算人の選任申立がなされました。

裁判所から相続財産清算人として選任された当職が、Aさんの相続財産の清算を行うことになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
まずAさんの遺言などがないか、受遺者となる方がいないか、そして遺産として積極財産・消極財産がないのかを確認しました。

Aさんは法務局での自筆証書遺言書保管制度も最寄りの公証役場(公証センター)での公正証書遺言の作成もしていなかったことが確認できたため、受遺者は存在しないものと思われました。

Aさんが住んでいた住居を尋ねるなどしてAさんの財産を調査しました。

本事例の結末
被相続人Aさんの自宅は、団信によりローンが完済されていたため、この不動産を売却することで相続債務も弁済することができ、残った財産を国庫に引き継ぎ、事件としては申立債権者、その他の相続債権者らも皆満足のいく清算ができました。

本事例に学ぶこと
相続財産清算人は、令和5年4月1日施行の改正民法による新制度ですが、従前の同様制度相続財産管理人よりも速やかに手続が進んでいくことが特徴です。

自分にとっての債務者が突然亡くなってしまい、相続人はいないということで困っている債権者の方も、債務者に何らかの財産がありそうだという場合には積極的に選任申立をすべきと感じました。

弁護士 相川 一ゑ