遺言書は被相続人の意思を示したものとして最大限尊重されるべきものとされています。
他方、遺言書において遺言書と異なる遺産分割が禁止されている場合を除き、相続人や関係者(受遺者や遺言執行人)が同意している場合には、遺言と異なる遺産分割協議も可能とされており、いずれの観点を重視するかが問題となります。
この点について、分割方法を定めた遺言書の存在を知らずになされた遺産分割協議は錯誤無効の可能性があるとした最高裁判決(平成5年12月16日)があります。この判決を前提とすれば、遺産分割協議後に遺言書が発見された場合でも遺産分割協議が当然に無効となるわけではありませんが、相続人が遺産分割協議に異議を唱え、遺言書と遺産分割協議の内容とが著しく異なる場合には、遺産分割協議の効力が否定される可能性があるということになります。
そこから、まずは発見された遺言書の内容を確認し、その上で従前の遺産分割協議を維持すべきか否かについて相続人の全員で話し合いを行うことが重要かと思います。
なお、遺言書において遺言執行者が指定されていた場合、相続人の廃除が定められていた場合、相続人の一人が遺言書を隠していた場合等には別の処理となることがあり得ますのでご注意ください。