紛争の内容
平成23年相続発生。遺留分を侵害する公正証書遺言あり。相手方長男がほとんど取得する内容。
依頼者(姉弟)は、上記遺言に基づき自宅底地の相続登記後、遺留分減殺請求対象の特定土地に、共同相続の登記完了後、相談。特定不動産に遺留分を集中させるため。
公正証書遺言後の作成の自筆遺言あり。検認手続。
3年かけ、調停成立したが、境界標設置時にトラブル。履行勧告の申立て。
交渉・調停・訴訟などの経過
1 平成23年末受任。翌年遺産分割調停申立て。併せて、検認手続申立て。
2 遺留分額確定のために、特別受益持ち戻しの具体的主張。
3 平成26年10月、調停成立。平成28年12月、漸く、境界標設置に至る。
本事例の結末
1 検認した自筆証書遺言は、不動産の地番間違い。相手方は当然、無効主張。
2 相手方の私立医大進学の、寄付金については、弁護士会照会するも資料なしとの回答。その他の、持ち戻し不調。
3 既に相続登記済の不動産以外に、依頼者(姉)が目的土地を取得し、依頼者(弟)に代償金負担。相続土地と、相手方所有土地の、境界線・境界標設置についての合意形成。
本事例に学ぶこと
1 共有の相続登記の有用性の再認識。遺留分減殺請求権に基づく登記請求権を保全するために、処分禁止仮処分をする必要がなかった。
2 特別受益持ち戻し額の資料の有無。
3 自筆証書遺言の危険性。
4 境界標設置の協力条項について、履行勧告が一応の効果を示したこと(権威の有効活用)。