紛争の内容
被後見人(男性)は、認知症の症状が出始め、その頃同居する親戚家族に通帳等の財産関係一式を取られてしまいました。
あるとき、被後見人が体調を崩し、救急搬送されましたが、その後の治療について親戚家族が継続を拒否したことから、市町村が虐待を疑い、被後見人を保護し後見の申立てを行いました。

交渉・調停・訴訟等の経過
本件の親戚家族に被後見人の預金が引き出されないように、速やかに口座の変更手続を行いました。
その上で、親戚家族に対しても、不当に取得した金銭について返還を求め、一部返還を受けました。

本事例の結末
その後は、被後見人の財産を守るべく、財産管理業務を行いました。
しかし、被後見人の容体が突如悪化し、お亡くなりになってしまいました。
お亡くなりになった後も、所持品を相続人に引き継いだり、葬儀の手配等を行いました。

本事例に学ぶこと
後見業務は、被後見人の死亡と同時に終了します。
そのため、被後見人死亡後、後見人が行う業務はありません。
もっとも、身寄りがいないとか、本件のように親戚家族を頼れないという場合は、後見人が事実上その後の対応も行うことがあります。
本来的な業務ではないとしても、後見人にしかできない業務があるのです。
その観点からも、判断能力に疑義が生じた場合には、後見の申立てを検討された方が良い場合もあると思います。

弁護士 小野塚 直毅