紛争の内容
Aさんは親族から受け継いだ多額の資産をお持ちでしたが、その親族も皆亡くなり、相続人となるのは高齢の夫Bさん一人だけでした。

今後のことを見据え、遺言書を作成することにしたものの、「全ての遺産をBに相続させる」との内容にしても、Bさんの方が自分より先に亡くなってしまうのではないかと懸念され、相談にお越しになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
Aさんの懸念のとおり、Bさんの方がAさんよりも先に亡くなってしまう可能性が高いので、その後の財産の受け継ぎ先を二段階で決めておくことにしました。

Aさんのご希望としては、Bさんが亡くなってしまった場合は親友のCさんに、Cさんも亡くなってしまった場合にはCさんの子Dさんに受け継いでもらいたいとの希望でした。

本事例の結末
「全ての遺産をBに相続させる」旨の内容を基本に、AさんよりもBさんが先に亡くなってしまった場合にはCさんに、Cさんも先に亡くなってしまった場合はDさんに、全ての遺産を相続させる内容の公正証書遺言を作成しました。

本事例に学ぶこと
高齢のご夫婦でお子さんがいない場合、どちらが先に亡くなるか分からないため、本件のように、財産の次の受け継ぎ先まで考えた遺言書を作成しておけば、ご自身の希望と異なる財産の流れ方にならずに済みます。

Aさんも、お元気なうちにきちんと遺言書が作成できて、安心されたようです。

弁護士 田中 智美