紛争の内容
被相続人である実父とも長らく疎遠であった姪が、相続人として権利主張をし、被相続人の面倒を見てきた兄弟とトラブルになった事例。遺言はない。
交渉・調停・訴訟などの経過
1 被相続人(実兄)の死去、実子(原告)とは長らく疎遠。葬儀代などの支出のために、被告らは、被相続人名義の預貯金の(生前・死後直後)の払戻、費消。
2 依頼者ら兄弟と被相続人共有不動産(管理困難物件)、共同墓地の問題などから、第一順位相続人である原告(姪)に、「相続放棄」の書面をかかせる。
3 原告、被相続人の預貯金調査、多額の預金の存在、上記払戻を確認。
4 代理人弁護士から、返還請求の内容証明を受ける。
5 訴訟提起される。
6 葬儀費用などの負担を遺産で賄うことを認めれば、管理残金を返還する意向あり。
7 姪は今後の干渉を回避したい、被相続人の遺骨を引き上げたい、共有不動産については他の共有者に無償譲渡する用意がある。
8 相続登記完了後、同持分の無償譲渡の和解条項を入れ、上記の趣旨を入れた裁判上の和解。
本事例の結末
和解成立。
本事例に学ぶこと
1 被相続人の、兄弟たちに対する遺言があれば、遺留分の問題として対応できた事案。
2 被相続人名義の生前、死後間もなくの払戻問題は、頻出する紛争。
3 葬儀費用の負担が、遺産で賄われる(相続人が負担する)とは限らない。