紛争の内容
被相続人の方が亡くなり、遺産分割が問題となりました。
ご依頼者様は相続人でしたが、相手方である他の相続人が遺産の一部である預金口座を管理していました。
ご依頼者様は、相手方に対し、遺産の開示を求めましたが、相手方はこれに応じず、遺産分割が進まなかったため、当方が家庭裁判所に遺産分割調停を申立てました。
交渉・調停・訴訟などの経過
調停が進む中で、相手方が、相続人でない者に遺産の全てを相続させる(遺贈)という内容の遺言書を提出しました。
当方は、この遺言について争う旨を主張しました。
双方が主張を行う中で、訴訟に移行すれば、遺言の有効性等も争点になり相当長期化することが見込まれるため、双方が費やす時間や労力を考え、調停において和解で終了させる方向で話し合いが進みました。
本事例の結末
被相続人の遺産は全て利害関係人が取得するとしたうえで、利害関係人が当方に対し、遺留分として合計約940万円を支払うという内容の和解が成立しました。
本事例に学ぶこと
相手方が提出した遺言書について、当方は、遺言の形式面や遺言能力、遺言の趣旨について争う主張を詳細に行ったため、相手方も訴訟におけるリスクを考え、和解を成立させることができました。
こちらに不利な証拠が提出されたとしても、証拠の内容を詳細かつ丁寧に検討し、できる限りの主張を行えば、こちらに有利な結果を得ることができることを学びました。
弁護士 野田泰彦 弁護士 権田健一郎