森田弁護士

 
当事務所は、紛争解決のために最善の努力をしますが、

まずは、紛争を起こさないのが一番です。

遺産分割の話合いを円満に行うためには、

次の心構えが必要です。
 

相続人全員で財産内容を共有する

話合いは、亡くなった方の四十九日のとき、あるいはそれ以降に、相続人に対し、遺産内容を記載した資料(不動産の価格なども入れる)を渡し、財産内容をすべて明らかにして行ないます。隠し事をしているのではないかとみられるのが、一番トラブルのもとになりますので、すべてオープンに行います。

話し合いに臨む態度

話合いを主導するのは、実家を承継する者(多くの場合、長男)ということになるでしょうが、次のような場合、長男と他の相続人との間で、紛争が生じがちになります。
ア 長男が、後継者である自分がすべて相続するのが当然だ、他の相続人には判子代程度しかやるつもりはない、という態度で遺産分割協議に臨んだ場合。
イ 被相続人の遺産を明確にしないまま、だまし討ちのようなことで判をもらってしまおうとした場合。

遺言書がない以上、平等な相続が原則であり、実家の跡を取るからといって、法的には多く遺産を取る権利はありません。話合いを主導する方は、オープンで、丁寧な対応をする、ある程度の物は他の相続人にもあげなければならないという覚悟をする、ということを胆に銘じてください。

法的手続をするのに遅すぎるということはない

上記のように話合いをしてもうまくいかない場合はどうしたらよいでしょうか。話合いがうまく行かない場合、放っておけば、遺産が未分割のままとなり、何十年もたってしまいます。ときどき、何十年も前に亡くなった方の名義のままになっている不動産がありますが、これも、遺産分割の話合いがうまくいかず、そのままになってしまったものです。

このような事態を避けようと思えば、家庭裁判所で遺産分割のための調停をしなければなりません。調停では、調停委員(2名)という人が間に入り、申立人と相手方が、交互に調停室に入って調停委員と話をします。このような形だと、感情的になることがないので安心です。

調停委員は、双方の利害を考えて、双方が納得できるような遺産分割案を模索します。双方が納得すれば、調停調書という書類が作られて遺産分割は終了します。調停は1か月に1回位の割合で開かれるので、解決まで1年、2年かかることも多いのですが、何十年もそのままになるよりはずっとよいと思います。

弁護士が扱う相続紛争の実際

当事務所で相続のご相談を受ける際、よくお客様からお聞きするフレーズがあります。それは「たいした遺産はないのだけど、揉めてしまって恥ずかしい話なのですが」といった言葉です。

確かに、遺産が莫大である場合、利害得失が複雑に絡み合う可能性が高く紛争になりやすいのではないかと思いがちです。しかしながら、実はそうでもないのです。というのも、遺産が莫大、権利関係が複雑という場合、ある意味事前に紛争となる可能性が高いと予想が出来るため、紛争予防策=遺言書の作成がなされることが多いからです。

そのため、実は、法律事務所で扱う相続問題は、相続税の納付義務が発生するような事案は少なく、多くは、遺産総額1億円以下というようなものが多いのです。たとえば、実家の土地建物とプラスαの遺産(預貯金、有価証券)が残されていて、これを、実家に住んでいる子とお母さんVSその他の兄弟姉妹、で争いになるというようなことが多いのです。

このような場合、確かに遺産の総額はそれほど多くはありません。しかしながら、双方の主張には道義的に見て、また、法律的、経済的に見て、それぞれ理由がある場合も多く、それだけに対立が激しくなる可能性があるのです。
遺産の総額に関係なく、いつでも当事務所にご相談下さい。