遺産該当性

相続のご相談を行っていると、どんなものが相続や遺産分割の対象となるのか、ご質問を受けることが多くあります。

中には書籍やインターネットで調査したという方もいらっしゃいますが、判断には注意が必要です。

大変ややこしいのですが、相続の対象となるもの、遺産分割の対象となるもの、そして相続「税」の課税対象となるもの、これらは分けて考えなければなりません。

まず、財産にはプラスの財産マイナスの財産が存在します。

プラスの財産の代表格は現金や預貯金になります。
現金・預貯金は当然相続財産に含まれます。
また、預貯金については、最近の判例で、遺産分割の対象となる旨が判示されました。

では、相続財産の中に貸家がある場合の家賃はどうでしょうか?

これについては判例があり、相続開始後かつ遺産分割前に生じた家賃は、当該不動産を共有する相続人が、その持分(相続分)に応じて分割された債権として、単独で確定的に取得するとされています。

なお、相続開始前の家賃で未払いのものがある場合には、可分債権として、遺産分割協議を待つまでもなく法定相続分に従って取得するとされています。

したがって、このような家賃については、相続の対象ではありますが、遺産分割の対象ではないということになります(なお、相続人の合意によって、遺産分割の対象とすることも可能な場合もあります。)。

一方、マイナスの財産の代表格である借金はどうでしょうか?

実は、借金すなわち債務は、相続の対象ではありますが、債権者保護のために遺産分割の対象とはされていません。

したがって、相続が生じたとき(被相続人が亡くなったとき)から、相続人たちが各々の持分に従って、借金を背負うことになります。

次に、墓や仏壇・位牌、遺骨は相続財産に含まれるでしょうか?

民法は祭祀承継者という制度を用意していて、相続とは別に、墓などを守る専門の地位を定めています。

したがって、法律上は、相続財産でもなければ、遺産分割の対象でもないということになります。

また、似たような問題として、葬儀等の際の香典も問題となり得ます。
しかし、香典は、多くの場合で喪主などの祭祀主宰者に対して贈られるものですから、相続財産でも遺産分割の対象でもないことになります。

このように、相続財産になるもの、ならないもの、相続財産ではあるが遺産分割の対象にはならないもの等が存在します。
お悩みの際には、是非一度弁護士までご相談下さい。

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